繰り返しできるニキビや、市販薬を使っても治らないニキビにお悩みではありませんか。ニキビが肌に残っていると、将来的にニキビ跡ができてしまうかもしれません。当院では、主に塗り薬と飲み薬でニキビを治療しています。ここからは、ニキビの原因や治し方、ニキビ肌のスキンケアなどを紹介します。
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ニキビとは
ニキビは医学用語で尋常性ざ瘡(英語名はacne)、またはざ瘡とよばれます。ほぼ誰しもが経験する、顔の赤いポツポツです。顔だけでなく、首や胸、背中、頭にできることもあります。
ニキビといえば思春期に出るイメージだと思いますが、大人になってから出る方もよくいます。当院を受診されるニキビの患者様は主に20~30代の方です。乳幼児にできることもありますし、高齢者で突然ニキビができて受診する方もいます。誰もがニキビを経験するため、皮膚病の中でもありふれている病気と言えます。
ニキビの原因は?
原因は大きく4つにわけられます。
- 男性ホルモンの作用による脂腺(皮脂を出す毛穴の横にある場所)の異常な増殖
- アクネ菌の毛穴での増殖
- 毛穴における皮膚の異常な増殖と角化
- 毛穴の炎症
「ニキビが悪化した原因は?」と患者様から尋ねられるのですが、一つに特定することは困難です。思春期にニキビが増えるのは、1のホルモンの影響です。
ニキビにはどう対応する?
ニキビと聞くとよくある病気と考えて「市販薬を使う」、「自然に治るのを待つ」という方も多いのではないでしょうか。しかし、効果がない市販薬を使い続けたり、ニキビを放置したりしてしまうと、ニキビ跡(黒いくすみ、赤み、皮膚のへこみ、皮膚の盛り上がり)が残ってしまうかもしれないのです。
黒いシミのようになってしまったニキビ跡は、数か月かけて少しずつ薄くなっていき、自然に治癒することも多いです。しかし、皮膚にへこみや盛り上がりができてしまうと、自然治癒は難しくなります。
ニキビができたときには、「ニキビに効果のある処方薬を使う」ことで症状が長引くことを防ぎ、ニキビ跡ができにくい肌状態を目指すとよいでしょう。気になるニキビを見つけたときには、お気軽に当院までご相談ください。
ニキビの日常スキンケアは?
ニキビができにくい肌状態を目指すためにも、毎日のスキンケアが大切です。ここでは主に洗顔と保湿についてオススメの方法を紹介します。
洗顔
1日2回朝と夜に洗顔料を泡立ててから洗顔します。髪の生え際やフェイスラインには泡が残りやすくなるため、丁寧にすすぎましょう。やわらかいタオルで軽く押さえて余分な水分を拭き取ります。
保湿
ニキビ肌は乾燥しやすいため、洗顔後はすぐに保湿しましょう。手のひらを使って優しく顔になじませるようにして化粧水を使いましょう。
ニキビ肌の日々のスキンケアに推奨されている成分には以下のものが挙げられます。
- アゼライン酸:炎症や皮脂分泌を抑える。ニキビ跡のくすみにも効果を期待できる
- ナイアシンアミド:炎症や皮脂分泌を抑える
- セラミド:ニキビ肌で不足している皮膚のバリア因子
ニキビ、酒さ、赤ら顔の保湿ケアに悩む患者様のために、当院オリジナルの保湿ケア「ベーシックケアAZ」を開発しました。ベーシックケアは貴重なアゼライン酸配合の保湿剤で、上記のナイアシンアミドやセラミドも含んでいます。
オンラインショップでも購入できますので、保湿ケアにお悩みの方はぜひお試しください。
ニキビの治療は?
ニキビの治療は、「処方薬を使う」ことと「根気よく治療を続ける」ことが大切です。それぞれについて詳しく紹介します。
ニキビの治療方法
ニキビの治療に使える市販薬は、医師の診察を受けずにドラッグストアや薬局などで誰でも気軽に購入できます。そのため、どのような年齢や体格の人であっても安全に使えるように、一般的には処方薬よりも有効成分の含有量が少なく調整されているのです。しかし処方薬は、医師が症状や年齢などにあわせて投与量や種類などをその都度調整できます。そのため処方薬を利用すると、一人ひとりの肌状態や症状にあわせた治療が受けやすくなります。
市販薬を漫然と使い続けても治らないときには、病院を受診して処方薬による治療を受けるようにしましょう。
ニキビの治療期間
湿疹などの皮膚疾患とは異なり、ニキビの治療は数日で効果が実感できるものではありません。毎日治療を続けても、効果を実感できる時期は治療開始から早くても約2週間後です。また炎症による色素沈着に対しては、効果を実感できる時期は約3か月後とも言われています。すぐに治療の効果を実感できないからといって自己判断で治療を止めずに、根気よく治療を続けましょう。
ニキビ治療の塗り薬
当院で処方しているニキビ治療の塗り薬について代表的なものをそれぞれ紹介します。
薬の種類
薬の種類と製品名については、以下のとおりです。
- レチノイド(製品名:ディフェリン)
- 過酸化ベンゾイル(製品名:ベピオ)
- 抗菌薬(製品名:ダラシン、アクアチム、ゼビアックス)
塗り薬には「レチノイド」、「過酸化ベンゾイル」、「抗菌薬」の大きく分けて3種類ありますが、組み合わせて使うと効果が高くなります。どの薬がよく効くかは一人ひとりで異なるため、効果を見ながら組み合わせを選んでいきます。
また、上記の成分を配合した薬もあります。
- デュアック(ダラシン+ベピオを配合)
- エピデュオ(ディフェリン+ベピオを配合)
配合薬は複数の薬の働きによって患部にアプローチするため、早期改善に効果的です。デュアックとエピデュオはどちらも1日1回の塗布でよく、利便性の高い製品といえます。
薬の使い方・効果・副作用等の注意事項
ここからは当院で処方しているニキビ治療薬について、それぞれの使い方や効果・副作用などを紹介します。
ディフェリン
ディフェリンはレチノイドというグループの処方薬で、ビタミンAに似た成分です。
使い方1日1回、洗顔後に塗ります。薬を塗っても肌が赤くならないことを確認してから、ニキビの周囲に円を描くようにして塗りましょう。
効果毛穴における異常な角化を抑え、毛穴の詰りを改善してニキビを治します。即効性はないものの、2週間ほどで効果を実感し始め、1~2か月使い続けることでさらに効果を実感しやすくなります。メラニンを皮膚の外に出す作用があるので、ニキビ跡の黒いシミにも効果的です。毎日塗ればニキビの予防にもなります。
副作用症状代表的な副作用は使い始めの刺激感(赤み、がさがさ、ひりひり感など)です。刺激感は使い続けていると1~2週間ほどでおちつくことがほとんどです。症状が強くなければ継続使用をオススメします。もし刺激感が強い場合は、1日おきに塗るなど間隔を空けて使うとよいでしょう。
注意事項妊娠中、授乳中の方は使用できません。
ベピオ
過酸化ベンゾイルという成分が含まれた塗り薬です。
使い方1日1回、洗顔後に塗ります。薬を塗っても肌が赤くならないことを確認してから、ニキビの周囲に円を描くようにして塗りましょう。
効果抗菌作用があり、炎症や異常な角化を抑えるピーリングのような効果があります。赤いボツボツしたニキビに向いています。
副作用症状代表的な副作用は使い始めの刺激感(赤み、がさがさ、ひりひり感など)です。使用を開始してから1~2か月以内に肌が赤くなる、がさがさするといった刺激症状が出ることもあります。またしばらく使った後にかゆくなる、赤くなってしまうなどかぶれの症状もまれに出ます。患部にこのような副作用症状が強くみられたときには、使用を中止し、当院を受診してください。
注意事項気になる症状があるときには、当院までご相談ください。
抗菌薬(ダラシン、アクアチム、ゼビアックス)
「ダラシン」は世界的に使われている抗菌薬の塗り薬で、ゲルとローションの2タイプがあります。ニキビ治療に保険適用で使えるのは「ダラシン」の他には「アクアチム」と「ゼビアックス」です。これらは症状を見ながら他の薬と組み合わせて処方します。
使い方- ダラシン、アクアチム:1日2回、洗顔後に適量を塗布します。
- ゼビアックス:1日1回、洗顔後に適量を塗布します。
ニキビの原因菌が増えるのを抑えます。
副作用症状個人差はありますが、かゆみや乾燥を感じることがあります。ディフェリンやベピオとは異なり、皮膚に対する刺激症状はほとんどみられません。
注意事項気になる症状があるときには、当院までご相談ください。
配合薬(デュアック、エピデュオ)
ベピオとダラシンを一緒に混ぜた「デュアック」、ベピオとディフェリンが混ざった「エピデュオ」も効果の高い薬です。どちらも保険適用で処方できます。
使い方デュアック、エピデュオ:1日1回、洗顔後に適量を塗布します。
効果- デュアック:抗菌作用があり、また炎症や異常な角化を抑えるピーリングのような効果があります。ダラシンが配合されており、ベピオよりも抗菌作用が強くなります。
- エピデュオ:抗菌作用があり、また炎症や異常な角化を抑えるピーリングのような効果があります。ディフェリンが配合されており、毛穴の詰まりを防ぎます。
デュアック、エピデュオ:塗り始めに赤みやひりひりなどの刺激感がよく起こります。肌荒れがみられる場合には塗り薬を調整します。
注意事項- デュアック:気になる症状があるときには、当院までご相談ください。
- エピデュオ:妊娠中、授乳中の方は使用できません。
ニキビ治療の飲み薬
当院で処方しているニキビ治療の飲み薬について代表的なものをそれぞれ紹介します。
薬の種類
薬の種類と製品名については、以下のとおりです。
- 抗菌薬(製品名:ルリッド、ビブラマイシン、ミノマイシン)
- 男性ホルモンを抑える(製品名:スピロノラクトン)
- イソトレチノイン(製品名:イソトロイン)
薬の使い方・効果・副作用等の注意事項
抗菌薬(ルリッド、ビブラマイシン、ミノマイシン)
ニキビの数が多い場合や赤くなって炎症を起こしている場合には、塗り薬だけでは効果不十分なことがあります。そのようなときには抗菌薬の飲み薬を併用します。当院では「ルリッド」、「ビブラマイシン」、「ミノマイシン」が処方できます。
使い方- ルリッド:1錠150mgを1日2回服用する
- ビブラマイシン:1錠50mgを1日2回もしくは1錠100mgを1日1回服用する
- ミノマイシン:1錠50mgを1日2回もしくは1錠100mgを1日1回服用する
抗菌作用ではなく抗炎症作用により赤ニキビの炎症を抑えます。4~8週間の継続使用で効果を実感しやすくなります。連続使用は最長12週間程度です。
副作用症状- ルリッド:下痢が起きることがあります
- ビブラマイシン:吐き気、下痢、光線過敏が起きる可能性があります
- ミノマイシン:下痢、めまいが起きる可能性があります
- いずれも稀ですが薬疹を起こすことがあります
- ルリッド:気になる症状があるときには、当院までご相談ください。
- ビブラマイシン:妊娠中、授乳中の方は使用できません。
- ミノマイシン:妊娠中、授乳中の方は使用できません。
抗菌薬はさまざまな種類の薬に影響を与えることがあります。現在服用中の薬がある方は、診察時にお伝えください。
スピロノラクトン
元々利尿薬として処方されている薬です。男性ホルモンを抑える作用があるので、ニキビにも効果があります。
使い方通常は2錠(50 mg/日)から服用を開始し、3~4錠(75~100 mg/日)まで増やします。その後は効果のある範囲で量を減らして調整します。
効果皮脂の分泌を抑え、ニキビの症状を改善します。ホルモンバランスの乱れによりできたニキビに向いています。塗り薬や抗生剤の飲み薬で治りが悪い場合に使います。
副作用症状倦怠感、脱力感、月経不順などが起こるかもしれません。気になる症状があらわれたときにはご相談ください。
注意事項ニキビ治療は保険適用外のため、自費で処方しています。当院では1日1錠25mgの場合、30日分を4,400円(税込)で販売しています。さまざまな種類の薬に影響を与えることがあります。現在服用中の薬がある方は、診察時にお伝えください。
- 未承認医薬品等(異なる目的での使用)
医薬品医療機器等法上、スピロノラクトンは「高血圧症、浮腫など」の効能・効果で承認されていますが、ニキビ治療を目的とした使用については国内で承認されていません。 - 入手経路等
国内の医薬品卸業者より薬を仕入れています。 - 国内の承認医薬品の有無
スピロノラクトンは国内で承認されていますが、承認されている効能・効果および用法・用量と当院における使用目的・方法は異なります。 - 諸外国における安全性等に係わる情報
副作用として報告されているもの:乳房痛、生理不順、不正出血など
イソトレチノイン(イソトロイン)
塗り薬や飲み薬の効果が不十分な場合や、ぼこぼこした赤みの強い「嚢胞性ざそう」と呼ばれるニキビの場合には、イソトレチノインが成分である「イソトロイン」を処方しています。
「イソトレチノインについてはこちら」
使い方1日20 mgから服用を開始して、症状を確認しながら投与量を調整します。服用終了後も効果を持続させるため、最低でも4か月は内服を続けます。6ヶ月前後内服するニキビ患者様が多いです。
効果皮脂の分泌や角化異常といったニキビの原因を治療します。ニキビによるごわごわして毛穴が目立つ肌質そのものを改善する効果も期待できます。
副作用症状唇や手足の皮むけが起こるかもしれません。こまめに保湿する必要があります。また、稀に肝機能障害、高脂血症が起こる可能性もあります。そのため当院では内服開始時と服用1か月後に採血をしています。近日に健診などで採血していてデータが有る場合は、内服開始時の採血は行わないこともあります。
注意事項妊娠している方、妊娠予定の方は服用できません。妊娠の可能性がある方は、服用期間中とその後1か月は避妊を徹底してください。服用期間中とその後1か月は授乳や献血も避けてください。ニキビ治療は保険適用外のため、自費で処方しています。当院では1日1錠20mgの場合、30日分を16,500円(税込)で販売しています。
- 未承認医薬品等(異なる目的での使用)
この治療で使用されるイソトレチノインは、医薬品医療機器等法上の承認を得ていない未承認薬です。 - 入手経路等
当院で使用しているイソトレチノインは、医師が個人輸入しています。個人輸入された医薬品等の使用リスクに関する情報はこちらのページをご確認ください。イソトレチノインの個人輸入についての厚生労働省の注意喚起はこちらのページをご確認ください。 - 国内の承認医薬品の有無
イソトレチノインは、国内においては承認されていません。 - 諸外国における安全性等に係わる情報
米国のFDA(食品医薬品局)など諸外国で承認されています。胎児の催奇形性、鬱、精神病などの精神疾患の副作用も報告されています。
ニキビ治療の料金
保険診療 | |
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初診料 | 約900円 |
再診料 | 約400円 |
処方料 | 約200円 |
※上記は3割負担の場合に必要な金額の目安です。都内在住で中学生までのお子様は、公費負担のため実費は0円です。
自費診療 | |
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スピロノラクトン (25mg/日) 30日分 | 4,400円(税込) |
イソトレチノイン(イソトロイン、20mg/日)30日分 | 16,500円(税込) |
※テスト環境のためコラム非表示
表示タグ:ニキビ・ニキビ跡治療