「保険診療のニキビ治療では治らない」
「ニキビ跡が増えてきて困っている」
などでお悩みではありませんか。
イソトレチノインは「ニキビ治療の切り札」とも呼ばれている内服薬です。繰り返すニキビや酒さ、毛穴の開き、皮脂分泌など、さまざまな肌トラブルに対して効果が期待できます。
本記事では、イソトレチノインの効果や治療の流れ、副作用、注意点などについて、知っておきたいポイントをわかりやすく解説します。
ニキビや酒さを改善したいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
目次(クリックで開閉)
イソトレチノインとは
イソトレチノインは、ビタミンA誘導体の経口薬です。米国では、重症ニキビの治療薬として40年以上にわたり使用されており、FDA(アメリカ食品医薬品局)にも正式に承認されています。[1]日本では厚生労働省の承認はされていませんが「ニキビ治療の切り札」として広く知られています。
イソトレチノインは皮脂の分泌を抑え、毛穴の詰まりを改善し、炎症を和らげるといった作用により、ニキビの主な原因にアプローチできる点が特徴です。[2]
イソトレチノインには以下のような種類がありますが、薬の作用はすべて同じです。
- 先発医薬品:アキュテイン
- 後発医薬品:ロアキュテイン(ロアキュタン)アクネトレント、イソトロイン
当院では、アクネトレントを採用しています。治療を希望される方は、診察時にご相談ください。
イソトレチノインのニキビや酒さへの効果
ここでは、イソトレチノインのニキビや酒さへの効果について詳しく見ていきましょう。
過剰な皮脂分泌を減らす
ニキビの主な原因の1つは、皮脂の過剰な分泌です。皮脂が多すぎると毛穴が詰まりやすくなり、炎症の原因になります。
イソトレチノインは、皮脂腺を退縮させる働きがあり、皮脂の分泌を減らす作用があります。研究によると、16週間のイソトレチノイン治療により皮脂分泌が約88.4%減少し、皮脂腺のサイズも著しく縮小したことが報告されました。[3]
イソトレチノインは、皮脂分泌の抑制を通してニキビの原因にアプローチし、皮脂腺の異常が関与するタイプの酒さに対しても効果が期待できます。
毛穴の詰まりにアプローチする
ニキビの原因の1つに、毛穴の出口が硬くなり、皮脂が詰まりやすくなる角化異常があります。角質がうまく剥がれず毛穴が塞がれると内部に皮脂が溜まり、炎症やコメドの原因になります。
イソトレチノインは角化異常に作用し、毛穴内部の脂質バランスを整えて、詰まりを防ぐと考えられています。研究によれば、コメド内のグリセリドが36%減少し、セラミドなどの増加が見られました。毛穴内の角化を正常化する作用があることがわかっています。[4]
重度のニキビや繰り返しできるニキビを改善する
非常に治りにくいタイプのニキビとして知られる「嚢胞性ざ瘡(のうほうせいざそう)」は、皮脂腺の炎症と詰まりが重度です。一般的な外用薬や抗生物質では、効果が不十分なこともあります。海外ではこのような重症なニキビに対し、イソトレチノインによる治療が推奨されており、高い治療効果が報告されています。
ある臨床試験によると、嚢胞性ざ瘡の患者にイソトレチノイン治療を行ったところ、95〜98%の改善が確認され、治療後も平均して38ヶ月にわたり維持できたと報告されました。[5]
脂腺増殖症にも効果が期待できる
脂腺増殖症は、直径2〜5ミリ程度の黄色いできものです。額やこめかみ、鼻、頬など皮脂の分泌が多い部位にできやすく、30代以降で増える傾向があります。健康への害はありませんが、見た目が気になるという理由で除去を希望される方は多いです。
個数が少ない場合は、ラジオ波メスでの除去が可能です。しかし、20個以上など数が多い場合や繰り返し新たに出現する場合は、外科的処置が難しくなります。そのようなケースでは、イソトレチノインの内服により、脂腺増殖症を縮小または消失させることが可能です。
研究によれば、脂腺増殖症の患者に2カ月間イソトレチノインを投与したところ、平均24個の病変数が2個に減少し、2年後も平均4個と低い水準を維持していました。[6]ただし、内服をやめた後に再発することもあるため、継続的な経過観察が必要です。
イソトレチノイン治療がおすすめな方
イソトレチノインは、次のような症状でお悩みの方におすすめです。
- 繰り返しニキビができる方
- 大型でしこりのあるニキビが多い方
- ニキビ跡ができやすい方
- 難治性のニキビがある方
- 酒さのボツボツが気になる方
- 他の酒さ治療で効果を実感できなかった方
- 酒さで鼻瘤の症状がある方
- ニキビや酒さの影響でごわごわと厚ぼったい肌質の方
- 毛穴の黒ずみが気になる方
- 皮脂の過剰な分泌が気になる方
イソトレチノインは、ニキビや酒さ、毛穴詰まり、皮脂分泌などでお悩みの方に適した治療といえます。
イソトレチノイン治療の流れ・経過
ここでは、イソトレチノインの治療の流れや経過について見ていきましょう。
ニキビの診察、採血
初回の診察では医師がニキビの重症度を確認し、イソトレチノインが適しているかを判断します。治療前には肝機能や脂質(とくに中性脂肪)を調べるために血液検査を実施し、副作用のリスクを事前に確認します。
女性は妊娠を避ける必要があり、治療に向けた準備が必要です。定期的に健診などで採血をしていて異常がない場合は、治療前の血液検査を省略することがあります。
服用開始
通常は、1日20mgを1回、食後に服用します。体重や症状に応じて、医師が用量を調整することもあります。
服用中は紫外線の影響を受けやすくなるため、日焼け止めを使用してください。治療は医師の管理のもとで行われるため、用法・用量を守りましょう。
副作用で最もよく経験する唇や皮膚の乾燥、鼻粘膜の乾燥による鼻血の副作用が強い場合には、自分の判断で1日おき、それでもつらければ週2回など内服の頻度を下げることが可能です。内服を続けるのが大事ですので、乾燥が辛い場合は容量を下げて継続しやすくするのも方法の一つです。
1カ月後
服用開始から1カ月後に、再度診察と血液検査を実施します。採血異常は稀ではあるものの、肝機能や脂質の変化、副作用の有無を確認するための重要な時期です。重篤な副作用や採血異常がなければ、治療を継続する方針が立てられます。
3カ月後
3カ月後は、症状の改善が見られ始める時期です。効果の程度を確認し、必要に応じ用量の調整や治療方針の見直しを行います。副作用の有無を確認しながら、治療を継続するケースが多いです。
6カ月後
6カ月後は、治療の終了が見えてくる時期です。イソトレチノインは一般的に6〜12ヶ月にわたって服用しますが、多くのケースでは4〜6カ月以内に大きな改善が期待できます。治療の終了または継続を医師と相談します。[7]
イソトレチノイン治療後の経過
イソトレチノインは、治療後もニキビができにくい肌状態を維持する効果が期待できます。治療後2年間の追跡調査によると、イソトレチノイン治療後に再治療が不要だった患者は82.5%でした。[8]治療後もニキビが再発しにくい安定した肌状態が維持されることを示しています。
ただし、再発する場合もあるため、医師の判断により2クール目の治療を行うことも可能です。ほかには過酸化ベンゾイル、アダパレン、アゼライン酸、トライファテンなどの外用薬を継続的に使用することでイソトレチノイン終了後の再発を防ぐ場合もあります。再治療が必要かどうかは、肌の状態やライフスタイルを踏まえ個別に検討します。
イソトレチノインの副作用
イソトレチノインには、注意すべき副作用がいくつかあります。とくに重要なのは、胎児の催奇形性と皮膚・粘膜の乾燥です。
胎児の催奇形性
妊娠の可能性がある方や妊娠している方が服用した場合、以下のようなリスクがあります。
- 胎児の奇形
- 死産、流産
- 早産
妊娠の可能性がある方や妊娠中の方は服用できません。また、女性の場合、最後の服用から1カ月は避妊をしてください。
皮膚や粘膜の乾燥
イソトレチノインには、皮脂分泌を抑制する作用があります。皮膚や粘膜が乾燥するため、以下のような副作用が生じることがあります。
- 皮膚炎
- 口角炎
- ドライアイ
- 鼻出血など
乾燥が気になるときは、唇にワセリンを塗る、肌にローションやクリームを使用するなどしましょう。鼻や目なども含め体全体が乾燥しやすくなるため、こまめな保湿ケアが必要です。
当院ではニキビ・酒さ専用の保湿剤を販売しています。詳しくは「ベーシックケア」のページをご覧ください。
その他の副作用
その他の副作用として、肝機能障害や脂質異常症、脱毛、関節痛、頭痛などが報告されています。
- 採血異常:稀に肝機能や脂質関連の数値に異常が見られることがあり、血液検査でモニタリングを行う
- 関節痛・筋肉痛・骨痛:軽度であれば服用を継続できるが、症状が強い場合は減量または中止を検討する
- 脱毛:稀に抜け毛が増えることがあるが、服用を中止すれば元に戻る
- 頭痛:頭蓋内圧の亢進が原因とされ、軽度であれば減量で対応、強い場合は内服の中止が必要になる
- うつ病:以前は報告があったが、2024年のアメリカ皮膚科学会のガイドラインではイソトレチノインとの因果関係は明確ではないと記載されている
- 炎症性腸疾患:以前は報告があったが、2024年のアメリカ皮膚科学会のガイドラインでは実際の因果関係ははっきりしていないと記載されている
いずれの副作用も、医師の指導のもとで適切に対応すれば、多くの場合はコントロール可能です。気になる症状があるときは、早めにご相談ください。
イソトレチノインを服用できない方
イソトレチノインは強い作用を持つ医薬品であるため、以下に該当する方は服用できません。
- 妊娠の可能性がある方、妊娠中の方
- 授乳中の方
- 12歳未満の小児
胎児への影響が極めて高いため、妊娠中および授乳中の服用は厳禁です。
医師への相談が必要な方
以下に該当する方は、服用の可否について事前に医師へご相談ください。
- ステロイド薬を内服している方
- うつ病などの精神疾患の既往がある方
- テトラサイクリン系の抗生物質(ビブラマイシンやミノサイクリンなど)を服用中の方
- 過去にイソトレチノインまたはトレチノイン製剤でアレルギー症状を起こしたことがある方
- 肝機能障害がある方
- ビタミンA過剰症の診断を受けたことがある方
イソトレチノイン治療時の注意点
ここでは、イソトレチノイン治療時の注意点について見ていきましょう。
個人輸入はしない
イソトレチノインは、医師の診察により治療が必要と判断された方のみ使用できる薬です。厚生労働省では、海外からの医薬品等の個人輸入を推奨していません。[9]副作用の発見を見逃す危険性があるため、必ず専門の医師による診察を受けるようにしてください。
併用薬に注意する
イソトレチノインには飲み合わせの悪い薬があり、併用することで副作用のリスクが高まる場合があります。以下のような服用中の薬がある方は、必ず事前に医師へご相談ください。
- 頭蓋内圧を高める薬(テトラサイクリン系抗生物質など):頭痛などの副作用が出やすくなる
- ビタミンA の内服薬:ビタミンA過剰症のリスクが高まる
自己判断での服用は避け、気になる症状や不安があれば、医師にご相談ください。
定期的な血液検査を受ける
イソトレチノインの副作用として、肝機能障害や脂質異常症などが報告されています。当院では、副作用を早期に発見するために、以下のタイミングで採血を実施しています。
- 治療開始時(健診などで定期的に採血して異常がない場合、省略することあり)
- 服用開始後1〜2カ月
- 投与量を増やしたとき
また、用量が少ない場合でも異常が出る可能性があるため、上記の場合以外にも長期内服する場合は、半年に1回程度の血液検査を推奨しています。検査結果に応じて再検査や用量調整、中止など、医師が適切に判断します。
※健康診断などの診断結果をお持ちの方で問題がなければ、初回の採血をしないこともあります。
献血は避け、紫外線対策を行う
イソトレチノインの服用中は、以下の点にもご注意ください。
- 献血の禁止:服用中および最後の服用から半年間は、男女問わず献血を控える
- 紫外線対策:紫外線の影響を受けやすくなるため、日焼け止めの使用や帽子の着用など、十分な対策をする
イソトレチノインの飲み方
イソトレチノインは、1日1回・食後に内服します。朝でも夜でも飲みやすいタイミングで構いません。食後に服用することで吸収が高まるため、忘れにくい時間帯を選ぶとよいでしょう。
用量の決め方と調整方法
服用量は、症状の程度や体重などを考慮して医師が判断します。
- 一般的には1日20mgから開始
- 体重の多い男性の場合は、1日40mgから開始することもある
当院では、1日20mgで十分な効果がみられるケースが多いです。ただし、症状がなかなか改善しない場合や、早期の改善を希望される場合は、40mgに増量することもあります。
副作用が強い場合の対応
乾燥などの副作用が強い場合は、以下のような減量も可能です。
- 20mg錠を1日おきに服用する
- 週に2回程度の服用に減らす
体調や副作用に応じて、医師が適切な服用量を判断します。必ず医師の指示に従い、自己判断での調整は避けてください。
症例
下の写真は保険適用のニキビ治療で3年間治らず当院を受診した重症のニキビ患者様です。



治療内容 | ニキビ治療。半年のイソトレチノイン内服、並行してVビーム2によるレーザー治療 |
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治療期間・回数 | 半年間、Vビーム2によるレーザー治療を7回 |
費用 |
イソトレチノイン20mg/日で30日分16,500円を6ヶ月 Vビーム頬から下 22,000円を7回 |
リスク・副作用 |
イソトレチノイン:胎児奇形、皮膚や粘膜の乾燥、頭痛、筋肉痛、骨痛うつ病など Vビーム2:赤み、むくみ、内出血、水疱、色素沈着、色素脱失など |
院長コメント | 写真のようなボコッとした大型のニキビは保険適用内の治療が難しいことが多々あり、その際はイソトレチノインで速やかに治療することでニキビ跡の赤みや凹みが悪化することを防げます。ニキビ跡になると治療がさらに難しくなるので、なるべくニキビを早く治してニキビ跡が出ないように予防することがニキビ跡対策になります。 |
イソトレチノインを難治性ニキビに使用した症例(20代男性)



治療内容 | ニキビ治療。イソトレチノイン内服とVビーム2のレーザー治療 |
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治療期間・回数 | 7ヵ月間、レーザー治療を5回 |
費用 |
イソトレチノイン20mg/日を7ヶ月分で16,500円、トータル115,500円 Vビーム全顔 33,000円を5回、トータル165,000円 |
リスク・副作用 |
イソトレチノイン:胎児奇形、皮膚や粘膜の乾燥、頭痛、うつ病など Vビーム2:赤み、むくみ、内出血、水疱、色素沈着、色素脱失など |
院長コメント | 当院で7ヶ月イソトレチノイン内服を続けたことでニキビは消えています。この患者様は赤みも同時に治療を希望されVビーム2 のレーザー治療を5回、イソトレチノインと併用したので赤みも目立たなくなっています。 |
重症酒さに対してイソトレチノイン治療を行った症例

治療内容 | 重症酒さに対するイソトレチノイン内服とVビーム2によるレーザー治療 |
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治療期間・回数 | 2ヵ月間、イソトレチノイン20mg/日、隔日で8ヵ月間 Vビームを6回 |
費用 |
イソトレチノイン20mg/日を1ヶ月分で16,500円、トータル99,000円 Vビーム頬から下 22,000円を6回、トータル132,000円 |
リスク・副作用 |
イソトレチノイン:胎児奇形、皮膚や粘膜の乾燥、頭痛、うつ病など Vビーム2:赤み、むくみ、内出血、水疱、色素沈着、色素脱失など |
院長コメント | イソトレチノイン治療を行った酒さ患者様の経過写真。3年前からボツボツと赤ら顔がひどくなり保険診療の塗り薬や飲み薬、メトロニダゾールが効かずに当院を受診し、当院での治療から1年後には写真のように改善しました。酒さのポツポツは消えて内服終了後も再発していません。同時にVビーム2のレーザー治療を6回行うことで、酒さによる赤ら顔も目立ちにくくなっています。 |
酒さによるぼつぼつ毛穴に悩む方の症例(20代女性)

鼻の黒ずみでお悩みだった20代女性の患者様。酒さによるぼつぼつも気になっていたのでイソトレチノインで治療を開始したところ、1ヶ月後には酒さのぼつぼつは消え、毛穴の黒ずみもほぼ消失しました。他にも肌質がツルッとして改善したりと鼻の黒ずみ以外にも全般的な効果が早い段階で出ました。
内服開始後1週間では逆に赤いぼつぼつが増えてしまい心配でしたが一過性で、1ヶ月続けてもらったところいい結果が出ました。
治療内容 |
イソトレチノイン20mg/日を1ヶ月 スキンケアはベーシックケアAZクリアローション |
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治療期間・回数 | 1ヶ月のイソトレチノイン内服 |
費用 | イソトレチノイン20mg/日を1ヶ月で16,500円 |
リスク・副作用 | 胎児奇形、皮膚や粘膜の乾燥、頭痛、うつ病など |
院長コメント |
イソトレチノインには注意点もありますので毛穴の黒ずみ単独であればCLRローション併用のダーマペンがおすすめです。 ・ニキビや酒さのぼつぼつができる場合 ・他の毛穴治療が過去効かなかった場合 にはイソトレチノインで毛穴治療を行うとより確実な黒ずみケアが実現できます。CLRローションとイソトレチノインは併用可能で、同時に行うとさらに強力な毛穴の黒ずみケアが可能になります。 |
イソトレチノインを毛穴に使用した症例(20代女性)



※写真は同じ人物です。症状がわかりやすいように拡大写真を複数掲載しています。
治療内容 | 長年鼻の毛穴、特に黒ずみでお悩みだった患者様です。イソトレチノインとCLRローション併用のダーマペンという2つの治療を組み合わせ1年5ヶ月後には毛穴の黒ずみがほぼ消失してツルッと肌質もきれいになりました。 |
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治療期間・回数 |
約1年5か月・3回 ダーマペン4(CLRローション併用)を期間中に合計3回施術しました。 イソトレチノイン20mg/日を6ヶ月、その後20mg隔日を4ヶ月処方しました。 |
費用 |
ダーマペン4(CLRローション併用) 22,000円×3回=66,000円(税込) イソトレチノイン内服薬 20mg 30日分 16,500円×6か月=99,000円(税込) イソトレチノイン内服薬 20mg隔日 30日分 8,250円×4か月=33,000円(税込) 合計132,000円(税込) |
リスク・副作用 |
ダーマペン:むくみ、痛み、内出血、色素沈着 イソトレチノイン:催奇形性、乾燥、頭痛、筋肉痛、骨痛 |
院長コメント |
2つの毛穴治療を組み合わせることで効果的に毛穴の黒ずみと開きを抑えることができました。さらに毛穴の開きを改善させるならジュベルック局注などの治療がありますが、ここまでよくなれば毛穴治療は一度完了になります。 ここでお示しした二人の患者様に使ったイソトレチノイン内服薬には、さまざまな注意点があるため、毛穴のお悩みに対して気軽に使う治療方法ではありません。 ただしこの患者様のようにさまざまな治療方法を試したけれど効果が実感できなかったときには、他の毛穴治療と併用することで黒ずみ除去の効果を高められます。 |
イソトレチノインを毛穴に使用した症例(40代女性)


※写真は同じ人物です。症状がわかりやすいように拡大写真を複数掲載しています。
治療内容 | 取れない鼻の黒ずみについて、長年お悩みだった患者様です。即効性のある治療を希望されたため、「ダーマペン4(CLRローション併用)」と「イソトレチノイン内服薬」を組み合わせて治療しました。治療開始から5か月後には、毛穴の黒ずみが目立ちにくくなりました。 |
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治療期間・回数 |
約5か月・4回 ダーマペン4(CLRローション併用)を月に1回、合計4回施術しました。 イソトレチノイン内服薬20mg/日を5か月処方しました。 |
費用 |
以下の施術は公的医療保険が適用されない自由診療です。 「イソトロイン(成分名:イソトレチノイン)」 20mg/日30日分16,500円×5か月分=82,500円(税込) 「ダーマペン4(CLRローション併用)」 22,000円×4回=88,000円(税込) 合計費用170,500円(税込) |
リスク・副作用 |
「イソトレチノイン」 唇や肌の乾燥、肝機能障害、関節痛、筋肉痛、骨の痛み、脱毛、頭痛、うつ病など 「ダーマペン」 むくみ、痛み、内出血、色素沈着 |
院長コメント |
黒ずみ除去の効果を高めるために、ダーマペン4とイソトレチノインという2種類の治療を組み合わせて対応した症例です。ダーマペンは細い針のついた器械を使って肌に小さな穴を開けることにより、自然治癒力を促進してさまざまな肌トラブルにアプローチする施術です。期待した効果が出るまで個人差はありますが、ダーマペン4は月に1回の頻度で5回を目安にしています。 この患者様に使ったイソトレチノイン内服薬には、さまざまな注意点があるため、毛穴のお悩みに対して気軽に使う治療方法ではありません。 ただしこの患者様のようにさまざまな治療方法を試したけれど効果が実感できなかったときには、他の毛穴治療と併用することで黒ずみ除去の効果を高められます。 また個人差はありますが、黒ずみ除去をしても、施術後に毛穴の開きの症状だけが残ってしまう方もいます。 その場合には、当院で受けられる「キュアジェット」、「トライフィルプロ」や「ジュベルックの手打ち施術」で対応すると、毛穴の開きの改善が期待できます。 ジュベルックとはポリ乳酸(PDLLA)を主成分とした薬剤です。患部にジュベルックを注入することで、コラーゲンの生成を促進して毛穴の開きといった肌悩みに効果が期待できます。期待した効果が出るまで個人差はありますが、目安となる施術間隔は1か月おきの3回です。期待した効果を維持したい場合は、さらに半年~1年に1回を目安に施術を受けるとよいでしょう。キュアジェットやトライフィルプロといった器械を使ってジュベルックを投与すると、より効果が上がる場合があります。 |
脂腺増殖症でお悩みだった方の症例

写真はひたいの3ミリほどの黄色いできもの、脂腺増殖症を当院でイソトレチノイン内服を開始してから6か月後の症例。完全に消失して平坦になっているのがわかります。写真では1箇所だけを拡大して見せていますが、ほかの多発していた脂腺増殖症も消えました。
治療内容 | イソトレチノイン20mg/日を6ヶ月 |
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治療期間・回数 | 6ヶ月のイソトレチノイン内服 |
費用 |
イソトレチノイン 20mg/日 30日分を6ヶ月分 16,500円 x 6 |
リスク・副作用 | 催奇形性、乾燥、肝機能異常、脂質異常、筋肉痛、関節痛、脱毛 |
院長コメント | この患者様では過去にオペで除去もしたのですが、脂腺増殖症が20個以上顔に多発していて定期的に増えていく状態でしたので、説明の上イソトレチノインを選択しました。ただし、高周波メスで除去した場合と違って内服が終わったら再発する可能性もあるので、ここはまだ経過をみる必要があります。 |
5年以上保険適応の塗り薬や飲み薬で治らないとニキビでお悩みだった10代女性の症例

治療内容 | ニキビ治療。イソトレチノイン内服とVビーム2によるレーザー治療 |
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治療期間・回数 | 8ヵ月間、イソトレチノイン20mg/日、隔日で2ヵ月間(計10ヵ月間) |
費用 |
「イソトロイン(成分名:イソトレチノイン)」 ・20mg/日30日分16,500円×8か月分=132,000円(税込) ・20mg/隔日30日分8,250円×2か月分=16,500円(税込) 「Vビーム2」 ・全顔 33,000円(税込)×3回=99,000円(税込) 合計費用:247,500円(税込) |
リスク・副作用 |
イソトレチノイン:胎児奇形、皮膚や粘膜の乾燥、頭痛、うつ病など Vビーム2:赤み、むくみ、内出血、水疱、色素沈着、色素脱失など |
院長コメント | イソトレチノインを使ってニキビ自体は完治しました。内服と同時にニキビあとの赤みにVビーム2によるレーザー治療を3回行うことで薄いニキビ跡の赤みがわずかに残る程度にまで改善しました。赤いポツポツだけでなく細かい黒ニキビもイソトレチノインの効果で消えています。 |
当院におけるイソトレチノイン治療の特徴
当院ではイソトレチノインによる副作用のリスクを防ぐため、服用開始時、1カ月後、投与量を増やしたときに血液検査を実施しています。数値に異常が見られた場合は、医師の判断により処方を中止することもあります。治療効果には個人差がありますが、多くの方が約6カ月の内服で改善を実感されています。
また、当院では患者さまのご希望に応じて、ニキビ跡の赤み改善に効果が期待できるVビーム2の併用も行っています。イソトレチノイン内服中でも、Vビームをはじめとしたレーザー治療は問題なく行うことが可能です。
Vビームについては「Vビームで赤ら顔、毛細血管拡張症や赤あざを治す」をご覧ください。
イソトレチノインの費用
イソトレチノインは、公的保険が適用されない自由診療です。
イソトレチノイン(アクネトレント、20mg/日)30日分 | 16,500円 |
イソトレチノインに関するよくある質問
ここでは、イソトレチノインに関してよく寄せられる質問をまとめました。
- イソトレチノインはニキビ跡に効果がありますか?
-
イソトレチノインは、すでにできてしまったニキビ跡に対して、単独で大きな改善をもたらす効果は限定的です。ただし、近年の研究では、低用量のイソトレチノインを服用しながらレーザー治療を併用することで、ニキビ跡にも改善が見られたと報告されています。[10]
ニキビ跡の治療は症状に応じて方法が異なるため、医師と相談しご自身に合った治療を検討しましょう。 - イソトレチノインを内服すると太りますか?
-
現時点では、イソトレチノインの服用が体重増加に直接つながるという科学的根拠は示されていません。ただし、副作用として中性脂肪やコレステロール値が上昇する場合があるため、体重管理に影響を及ぼす可能性もゼロではありません。
また、乾燥や体調の変化によって食生活や運動習慣に影響を及ぼし、体重が増えるケースも考えられます。気になる変化がある場合は、早めに医師にご相談ください。
イソトレチノイン治療をご検討の方は池袋駅前のだ皮膚科へ
イソトレチノインは、皮脂の分泌を抑え、毛穴の詰まりや炎症を改善する作用があります。重症のニキビや酒さに高い効果が期待できる内服薬です。しかし、胎児への催奇形性や乾燥といった副作用があるため、必ず医師の指示に従って服用しましょう。
ニキビや酒さにお悩みの方、気になる症状がある方は、当院までお気軽にご相談ください。
イソトレチノインについて
未承認医薬品等(異なる目的での使用)
イソトレチノインは、医薬品医療機器等法上において国内で承認されていません。
入手経路等
インドのCipla社から個人輸入しています。
個人輸入された医薬品等の使用リスクに関する情報はこちらのページ(https://www.yakubutsu.mhlw.go.jp/individualimport/index.html)
イソトレチノインの個人輸入についての厚生労働省の注意喚起はこちらのページ(https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/kojinyunyu/050609-1b.html)をご確認ください。
国内の承認医薬品の有無
国内で同程度の効能・効果で承認されている国内承認医薬品薬剤はありません。
諸外国における安全性などに係る情報
米国のFDA(食品医薬品局)など諸外国で承認されています。胎児の催奇形性、鬱、精神病などの精神疾患の副作用も報告されています。
【参考文献】
[1]FDA(アメリカ食品医薬品局)公式サイト「イソトレチノインカプセル情報」
https://www.fda.gov/drugs/postmarket-drug-safety-information-patients-and-providers/isotretinoin-capsule-information
[2] Ganceviciene, R., & Zouboulis, C. C. (2007). Isotretinoin: state of the art treatment for acne vulgaris. Dermatology, 214(1), 38–45.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20482692/
[3]Goldstein JA, Comite H, Mescon H, Pochi PE. Isotretinoin in the treatment of acne: histologic changes, sebum production, and clinical observations. Arch Dermatol. 1982;118(8):555-8.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/6213204/
[4] Melnik, B., Kinner, T., & Plewig, G. (2004). Influence of oral isotretinoin treatment on the composition of comedonal lipids. Implications for comedogenesis in acne vulgaris. Archives of Dermatological Research, 280, 97–102.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33085149/
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/2969220/
[5]Peck, G. L., Olsen, T. G., Butkus, D., et al. (1982). Isotretinoin versus placebo in the treatment of cystic acne. A randomized double-blind study. Journal of the American Academy of Dermatology, 6(4 Pt 2 Suppl), 735–745.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/6461677/
[6] Tagliolatto, S., Santos, O. de O., Alchorne, M., & Enokihara, M. (2015). Sebaceous hyperplasia: systemic treatment with isotretinoin. Anais Brasileiros de Dermatologia.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4371670/
[7] Sangha, A., & Rizvi, M. (2022). Structured digital care pathway for systemic acne treatment using isotretinoin. BMJ Innovations.
https://innovations.bmj.com/content/8/4/312
[8] Del Rosso, J. D., Stein Gold, L., Segal, J., & Zaenglein, A. (2019). An Open-label, Phase IV Study Evaluating Lidose-isotretinoin Administered without Food in Patients with Severe Recalcitrant Nodular Acne: Low Relapse Rates Observed Over the 104-week Post-treatment Period. The Journal of Clinical and Aesthetic Dermatology.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32038751/
[9]厚生労働省:あやしいヤクブツ連絡ネット「リスクが潜む個人輸入」
https://www.yakubutsu.mhlw.go.jp/individualimport/index.html
[10]Gold, M., Manturova, N., Kruglova, L., et al. (2020). Treatment of Moderate to Severe Acne and Scars With a 650-Microsecond 1064-nm Laser and Isotretinoin.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32574021/
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