花粉症とは、スギやヒノキなど植物の花粉が原因で生じるアレルギー症状です。日本では、花粉症の有病率が年々増加しています。環境省によると、1998年は19.6%だった有病率が2019年には42.5%に達し、10年ごとに約10%増加しています。[1]
主な症状には、くしゃみや鼻水などがあり、日常生活に支障をきたすことも少なくありません。花粉症は、適切な治療と予防策によって症状の緩和が期待できます。
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花粉症の原因・症状
ここでは、花粉症の原因と症状について見ていきましょう。
花粉症が起こる原因
花粉症は植物の花粉が鼻や目の粘膜に付着し、免疫反応を引き起こすことで発症するアレルギー疾患です。とくに、スギやヒノキの花粉が主な原因とされています。
花粉が体内に侵入すると免疫システムが異物と認識し、抗体をつくります。再度同じ花粉が侵入すると抗体が反応し、ヒスタミンなどの化学物質を放出し、くしゃみや鼻水などの症状が現れます。[1]
花粉症の主な症状
花粉症の症状は飛散時期に合わせて現れ、日常生活に支障をきたすことがあります。主な症状は、以下のとおりです。
- 鼻症状:くしゃみ、鼻水、鼻づまりなど
- 眼症状:目のかゆみ、涙目、充血など
- その他:喉のかゆみ、咳、頭痛、倦怠感など[2]
花粉症治療の種類
花粉症の治療にはさまざまな方法があるため、症状の程度や患者さまの希望に応じた選択が重要です。
薬物療法
薬物療法は、花粉症治療の最も一般的な治療方法です。主に使用される薬剤として、以下が挙げられます。
- 抗ヒスタミン薬:ヒスタミンの作用を抑え、くしゃみや鼻水・かゆみを軽減。第2世代の抗ヒスタミン薬は眠気が少なく日常生活への影響がさほどないため、広く使用されています。(商品名はデザレックス、ビラノア、アレグラ、アレジオン、アレロック、タリオン、ルパフィン、ザイザル、エバステルなど)
- ステロイド点鼻薬:鼻の炎症を抑えるため鼻づまりに有効。長期間使用しても副作用が少ないとされており、ガイドラインでも推奨されています。(商品名はアラミスト、ナゾネックスなど)
- ロイコトリエン受容体拮抗薬:鼻づまりの改善に有効。抗ヒスタミン薬と併用されることが多いです。[2](商品名はオノン、キプレスなど)
上記の薬剤は、厚生労働省のガイドラインで推奨されています。
アレルゲン免疫療法
アレルゲン免疫療法は、花粉症の症状を抑えることを目的とした治療法です。舌下免疫療法は、アレルゲン(スギ花粉エキスなど)を少量ずつ体内に取り込み、免疫系を少しずつ慣らしていく、自宅で行える治療です。
たとえば、スギ花粉に対してはシダキュア、ダニに対してはミティキュアを使用した舌下療法があり、いずれも保険適用で行えます。約3〜5年間の継続が推奨されており、長期的な効果が期待できます。[3]
生活習慣の改善
日常生活においても、以下のような花粉の影響を軽減するための工夫がポイントです。
- 花粉を避ける:外出時はマスクやメガネを着用します。
- 帰宅時には服や髪についた花粉を払い落とします。
- 室内環境の整備:部屋の掃除、換気を心がけましょう。
- 鼻の粘膜を正常に保つ:風邪をひかないよう注意し、飲酒・喫煙を控えましょう。
たとえば、花粉症用のマスクを着用するだけでも、マスクをしない場合に比べて約84%花粉を減少させる効果があります。[1]薬物療法と併用しながら生活習慣を見直すことで、症状を抑えることが可能です。
池袋駅前のだ皮膚科における花粉症治療
池袋駅前のだ皮膚科では、患者さま一人ひとりの症状に合わせた治療を行い、花粉症の改善を目指しています。ここでは、当院での治療の流れについてご紹介します。
- 診察と検査:医師が症状を確認し、必要に応じアレルギー採血を実施。花粉症の原因となるアレルゲンを特定します。
- 治療方針の決定:検査結果や症状に応じて抗ヒスタミン薬・点眼薬・点鼻薬・ステロイド外用薬などを組み合わせた治療をご提案。舌下免疫療法にも対応しているため長期的な症状改善を目指すことが可能です。
- 治療と経過観察:定期的な診療により治療効果を確認し、必要に応じ薬の調整や生活習慣のアドバイスを行います。
当院はJR池袋駅東口から徒歩1分とアクセスがよく、土日診療にも対応しています。お仕事で忙しい方でも、通院しやすく大変便利です。
花粉症の治療費用
花粉症の治療には、公的保険が適用される治療と自費診療があります。抗ヒスタミン薬、点眼薬、ステロイド外用薬、アレルギー採血検査などは、保険が適用されます。舌下免疫療法も保険適用の対象ですが、治療が3〜5年と長期にわたるため継続的な通院が必要です。
以下は、3割負担の場合に必要な費用の目安です。
初診料 | 約900円 |
再診料 | 約400円 |
処方料 | 約200円 |
アレルギー採血 | 約5,000円 |
花粉症の治療に関するよくある質問
ここでは、花粉症治療に関して、多くの患者さまから寄せられる質問をまとめました。
- 花粉症を悪化させる食べ物を教えてください
- 花粉と似た成分を含む食品や、ヒスタミンを多く含む食品を食べると花粉症が悪化する可能性があるため、気を付けましょう。
- 花粉と似た成分を含む食品:トマト、りんご、桃などを食べると、口のかゆみや喉の違和感を引き起こすことがあります。[4]
- ヒスタミンを含む食品:チーズ、ワイン、発酵食品などは、アレルギー症状を悪化させる可能性があります。[5]
- ただし、食事の影響には個人差があるため、症状が出やすい食品を避けることが重要です。
- 花粉症を完治させる方法はありますか?
- 現在、花粉症を完全に治す確実な治療法はありません。しかし、アレルゲン免疫療法(シダキュアの舌下免疫療法など)によって症状を大幅に軽減し、長期的な改善が期待できます。
- アレルギー性鼻炎の患者を対象とした臨床研究によると、3年間の舌下免疫療法により、症状の有意な改善と患者満足度スコアの向上が認められました。満足度スコアは4.8から7.47に上昇し、生活の質の向上が顕著に見られたと示唆されています。[6]
- ただし、個人差があるため、治療効果は異なる点には注意が必要です。
花粉症でお悩みの方は池袋駅前のだ皮膚科へ
花粉症とは、スギやヒノキなど植物の花粉が原因で生じるアレルギー症状です。くしゃみや鼻水・目のかゆみなどの症状が現れ日常生活に影響を及ぼしますが、薬物療法やアレルゲン免疫療法などにより軽減可能です。
当院では、抗ヒスタミン薬や点眼薬・点鼻薬を組み合わせた治療とともに、舌下免疫療法や生活習慣の指導など、患者さま一人ひとりに合った治療を提案しています。花粉症の症状にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
参考文献
[1]環境省「花粉症環境保健マニュアル2022年3月改訂版」
[2]厚生労働省「的確な花粉症の治療のために」
[3]内閣官房「花粉症対策の全体像」
[4]藤田医科大学医学部「アレルギー疾患対策医療学講座」
[5]一般社団法人日本アレルギー学会「アレルギー疾患の手引き」
[6]Novakova, P. (2020). Determinants and Factors of Satisfaction with Sublingual Immunotherapy in Patients with Allergic Rhinitis. Folia Medica.
※テスト環境のためコラム非表示
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