「生まれたばかりの赤ちゃんに赤あざがでてきた」、「小さな頃にあった赤あざが大きく広がってきた」、「大人になってから赤いほくろが増えてきた」など、赤あざや赤いほくろについての悩みを抱えてはいませんか。
このような悩みの原因は、「血管腫」や「血管奇形」と呼ばれる血管の異常によって起こる皮膚疾患かもしれません。とくに赤ちゃんに症状があらわれたときには、治療を開始するタイミングによっては治りにくくなることも考えられるのです。
このページでは、血管腫・血管奇形についての原因、症状、代表的な種類、当院で行っている治療方法などをわかりやすく紹介します。血管腫・血管奇形に関する正しい情報を知り、不安なときには早めにクリニックを受診しましょう。
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血管腫・血管奇形とは?5種類の原因や症状を解説
ここでは血管腫と血管奇形の代表的な疾患を分類して、疾患ごとに原因や症状などを解説します。
血管腫とは?2種類の原因や症状の解説
血管腫は、血管内皮細胞が異常増殖した「できもの」のことです。ここでは代表的な症状である「乳児血管腫(いちご状血管腫)」と「老人性血管腫」について、原因や症状などを解説します。
乳児血管腫(いちご状血管腫)
未熟な毛細血管が増殖してあらわれる良性の腫瘍です。肌にいちごのような赤みがあらわれることから、以前は「いちご状血管腫」と呼ばれていました。体、足など全身にできる可能性があり、とくに頭や顔など首から上にできやすい傾向があります。
生まれたときには症状がなくても、生後2週間頃にあらわれるのが特徴です。1.5歳頃までは症状が大きくなる「増殖期」、5歳頃までは症状が小さくなる「退縮期(消退期)」、5歳以降はさらに症状が小さくなる「消失期」と呼び、ほとんどの場合、成長にともなって赤みは自然に薄くなっていきます。しかし経過には個人差が大きく、皮膚のたるみや傷跡が残る場合もあります。
症状があらわれた場所や大きさによっては気道閉塞や視野障害、難聴、排便困難症などのリスクが高くなるため、緊急の治療が必要になることがまれにあります。
Vビームによるレーザー治療、ヘマンジオルシロップという2つの保険適用の治療があります。Vビームは当院で0歳のお子様から治療を行っています。Vビームには血管を退縮させて血管腫の増殖を抑える効果があるので、1歳になるまでの増殖期にレーザー治療すると、乳児血管腫が消退したあとの瘢痕を目立ちにくくできる可能性があります。
老人性血管腫
血管が増殖してできた良性のできものです。高齢者によくみられる症状ですが、若年者にみられることも珍しくはありません。ルビー色で、1~5mm程度の大きさをしているため、赤いほくろのような見た目をしています。上半身によくみられる症状で、年齢とともに増えていきます。ただし、体質によって作られる数は異なります。
放置していても自然に消えることはなく、見た目が気になるときにはVビームによるレーザー治療が有効です。当院でレーザー治療を行っています。
老人性血管腫について詳しく知りたい方は、「老人性血管腫(赤ほくろ)」のページをご覧ください。
顔や首、腕にできる赤いホクロのように見える赤い点が気になっている方は多く、Vビームを使えばたいてい一回のレーザー治療で上の写真の当院での患者様のように消せます。この赤い点のような血管腫は老人性血管腫またはさくらんぼのように見えることからチェリーアンジオーマ cherry angiomaと呼ばれていて、年齢や日光の影響によりできる血管のかたまり。血管を壊すVビームでの治療が有効です。
医学的に悪いできものではないですが、自然には消えないので気になったらVビームでの治療。予約なし、受診当日のレーザー治療を承っています。
血管奇形とは?3種類の原因や症状の解説
血管奇形は毛細血管、静脈、動脈、リンパ管がうまく作られなかった状態です。血管の「かたち」や「できかた」が異常となり、さまざまな症状があらわれます。
ここでは血管奇形の中でも代表的な「単純性血管腫」、「くも状血管腫」、「静脈湖」について原因や症状などを紹介します。
単純性血管腫
毛細血管の奇形で、生まれつきある平らな赤あざです。さらに成人になると暗赤色になる、盛り上がるなど患部が変化していきます。また放置していても通常症状は消えません。
眉間や上まぶたなどの顔中心にあるものは「サーモンパッチ」、頭頂部からうなじにかけてあるものを「ウンナ母斑」と呼ぶこともあります。「サーモンパッチ」や「ウンナ母斑」の中には3歳程度で自然に症状が消えるものもありますが、大人に持ち越すとレーザー治療に反応しにくくなるため早めの治療を推奨しています。
単純性血管腫について詳しく知りたい方は、「赤あざ(単純性血管腫)にはどうやって対処する?」のページをご覧ください。
写真は当院で治療した生まれつきの赤あざの治療経過です。生後4ヶ月で治療を開始したので、Vビーム2で2回照射したところここまで目立たなくなりました。
頭の赤あざでも髪を切ってレーザー治療できます。髪は一過性に短くなりますが、毛根には影響がないのでまた元通り生えてきます。
このタイプの赤あざは単純性血管腫と呼ばれ、年齢が若いほどレーザー治療の効果が上がります。気になる赤あざは早めの治療がおすすめです。0歳からでも治療はできます。予約なし受診当日のVビーム治療を承っています。
くも状血管腫
毛細血管が拡張してクモのような形に見えることから、くも状血管腫と呼ばれています。通常は、赤色で1cm未満のサイズです。妊娠中、経口避妊薬などの影響で起こることもありますが、その場合には出産後や経口避妊薬の使用中止で自然に消えます。また肝疾患の方は、複数のくも状血管腫があらわれることがあります。
医学的には治療は不要ですが、見た目が気になる場合はVビームによるレーザーが有効です。当院でも治療を行っています。
静脈湖
静脈が拡張して作られたできもので、色は青色や紺色、大きさは2~10mm程です。唇にできます。紫外線が原因の一つであり、、高齢者によくみられる症状です。痛みや出血が起こることもあります。治療にはVビームが有効で、当院でも治療を行っています。
唇に黒いできものができて消えずにお悩みの場合、静脈湖という血管のできものの可能性があります。上の写真は当院のVビーム2で強めに一度レーザー治療した結果ですが、ほとんど目立たなくなっています。
赤ら顔とは違ってパルス幅を上げて、高い出力で重ねてVビームを打つのが静脈湖治療の特徴です。静脈湖、赤ら顔、ニキビ跡の赤み、赤あざと、それぞれVビームの設定を変えて効果が上がる様に治療しています。
唇の黒い点やできものの場合
- シミ → 強めにピコレーザー
- ホクロ → 高周波メスや手術で除去
- 静脈湖 → Vビーム
と治療が変わってきますのでお悩みの際はご相談ください。Vビーム、ピコレーザー、手術のいずれも予約なし、受診当日の施術が可能です。
血管腫・血管奇形の2つの治療法
血管腫・血管奇形の治療にはいろいろな方法があります。
ここでは、主に当院で対応している2つの治療法について紹介します。
治療法1:Vビーム
血液に反応する色素レーザーです。原因となっている異常な血管を破壊して気になる症状を改善します。「単純性血管腫」、「乳児血管腫(いちご状血管腫)」に関しては保険適用です。「毛細血管拡張症」については症状によっては保険適用になることがあり、診察時に保険適用かどうかは判断しています。いわゆる赤あざの他に、老人性血管腫、くも状血管腫、静脈湖の治療に向いた方法です。
治療法2:手術
サージトロンと呼ばれる高周波メスやくり抜きパンチ、メスを使って血管腫などの「できもの」を取り除く方法です。血管腫が大型の場合はVビームよりも手術による除去が適切な場合があります。
Vビームについて詳しく知りたい方は、「Vビームで赤ら顔、毛細血管拡張症や赤あざを治す」のページをご覧ください。
それぞれの副作用やリスク
Vビームは、血管腫に対しては強めにレーザーを照射するため、打撲のような紫色の内出血が出やすくなります。皮膚の状態や年齢などによって個人差はありますが、早ければレーザーを照射した直後から内出血が出現し、遅くても2週間以内には症状が気にならない程度まで回復します。また手術とは異なり複数回の治療が必要な場合があります。
メスを使った手術では、手術後の傷跡ができる場合があります。また健康状態や患部の症状によっては手術ができないかもしれません。
よくある質問
ここでは、血管腫と血管奇形に関するよくある質問に回答しています。
- 治療費はどのくらいかかるか?保険適用はあるか?
- 手術の場合は1万円前後で治療できることが通常です。
Vビームを使った治療の場合、「単純性血管腫」、「乳児血管腫(いちご状血管腫)」に関しては健康保険が適用されます。症状や大きさなどによっても異なりますが、保険診療(3割負担)の場合は、約6,500円~32,000円です。保険適用外の場合は最低料金が税込11,000円で、具体的な治療費は診察時に判断しています。
都内在住で高校生までのお子さまは、保険適用の場合、全額公費負担となり実費は0円です。 - 赤ちゃんの血管腫は放置してよいのか?
- 乳児血管腫(いちご状血管腫)は、放置していると自然に治ることも多い疾患です。しかし、皮膚にたるみや傷跡が残る場合もあります。
単純性血管腫は、放置していても自然に消えることはなく、大人になるにつれて色が濃くなり盛り上がることも考えられます。単純性血管腫の場合には、赤ちゃんのときにレーザー治療をすると治療効果が高くなります。
赤ちゃんに赤あざの症状があらわれたときには、お気軽に当院までご相談ください。 - 血管腫の治療後に再発の可能性は?
- 一度良くなれば再発する可能性は低いです。老人性血管腫の場合は新しい病変ができることはあります。1回のレーザー治療で治療終了にならないことはあります。自己判断で治療を中止せずに、医師の治療方針に従うようにしましょう。
- 悪性の血管腫もあるのか?
- 血管腫そのものには悪性のものはありません。
しかし「血管肉腫」という悪性がんは、皮膚の赤み、皮膚の盛り上がりなどの特徴が血管腫に似ているため注意が必要です。血管肉腫は、血管内皮細胞ががん化したものであり、とても珍しい病気で全身どこにでも作られます。生まれつきではなく高齢になってから赤あざができたときには、「血管肉腫」の初期症状かもしれません。なるべく早めに当院までご相談ください。
※テスト環境のためコラム非表示
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